好き

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「嘘だぁ」 ドアが開けばここからでもちゃんと人の出入りは確認できる。 ドアが開く音がしなかったってことは、私にわからないように出てきたってことじゃない。 恨めしそうに社長を見ると、 「お前に嘘言って何の得になんだよ。ホラ貸せ、2人分煎淹れろ」 と横に立って私の分のコーヒーを掬った。 …あ。いい匂い。 そう思ったのは、コーヒーじゃなくて社長の香水。 普段の距離ならあまり感じない程度の匂いだけど、こうして近付くと凄くいい匂いがする。 キュン、とするような。 って。 何で私がキュンとしなきゃいけないんだろ。 そんな自問自答をしながら、ドリップされるコーヒーを眺めた。 .
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