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「失礼します、コーヒー持ってきました…」
控え目にノックをして社長室に入ると、社長は月末統計に目を通しているところだった。
「あぁ。」
カチャ、と小さく音を立てて置いたコーヒーカップを、パソコンから目をそらすことなく手に取ると一口、啜った。
途端。
「ぶっ…苦!お前、なんだこれ…濃すぎ!」
驚いた社長が目を丸くして私を見た。
「…日頃の恨みか?こんなことするからにはどうなるかわかってんだろうな?」
「へっ?あ!いつもより黒いなーとは思ってたんですけど…」
…しまった、私何杯入れたっけ?
「何ボーッとしてんだよ。そういやお前ここ2、3日変だぞ、何かあったのか?」
コーヒーカップを置いた社長は、何気なく尋ねてきた。
「…っ」
その何気なさに、キュンとしてしまう。
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