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社長って、私が嬉しいことをサラッと言ってくれる。
心配してくれるんだ。
秘書なんだから当たり前なのかな。
社長の目を見つめ返しながらそんなことを考えると…何だか涙が出そう。
「?本当に変だぞ。」
ウルウル見つめる私を変に思ったのか、社長が近付いてきてスッと額に手を伸ばした。
「…熱はない、か。」
自分の熱と比較しながら、社長が呟いた。
…どうしよう。
ここを辞めるなんてやっぱりできないよ。
何も言わずただ瞳を潤ませる私。
そんな私に、社長は優しく言った。
「…今日は残業もなさそうだし、帰り送ってやるよ」
「はい…ぇ、え?!」
思わずぎこちない反応をしてしまったけど。
「何だよ、送ってやるっつってんの。何か問題でもあんのか?」
「いや、えっと…」
嬉しい。
とてつもなく嬉しい。だけど今日は…。
「き、今日は、ちょっと…」
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