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と、足を踏み出した時。
「痛っ!」
打ち合わせですっかり忘れていた踵の痛みがぶり返してきて、思わず小さく声を上げた。
もう数メートル先へ行っていたから聞こえないと思っていたら、不意に社長が振り返った。そして眉をひそめる。
「どっか具合でも悪いのか?」
「えっ…」
「ここ来た時から何か変だぞ。どこが痛いのか言え」
怒ったように詰め寄る社長に、別に悪いことしてるわけじゃないのに怯んでしまう。
「えっと…あ、足が…」
言うが早いか、社長は私の足もとをぐるっと見て、
「靴擦れしてる。そんな気取った靴履いてるからそうなるんだ。来い」
無理矢理引っ張ると近くにあったベンチに座らせた。
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