母性本能?

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「…何で謝る?」 見慣れない上目遣いの社長と目が合った。 「え…」 「俺が『社長』だから?」 ドキッとした。 なぜなら、そう言った社長の表情が、少し哀しそうに見えたから。 「…違い、ます」 反射的に、そう答えていた。 本当はそうなんだけど、それを言ったらこの人は傷ついてしまうんじゃないかと思った。 「こんなところで足を触られるなんて恥ずかしいから、です」 苦しい言い訳だったかもしれない。 でもそう言うと、社長はちょっとだけ目を丸くして、それからふっと笑った。 「はは。お前、男にも慣れてねーのな」 その後、私から絆創膏を催促すると、踵が当たる部分を保護するようにきれいに貼ってくれた。 「…ありがとうございました」 照れつつそう言うと、 「どういたしまして、お嬢様」 パンパンッと膝の汚れを払って、社長も照れ臭そうに立ち上がった。 .
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