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「もうちょっとゆっくり歩いて下さいよ」
そう文句を言いながらふと横に目を遣ると、ショーウインドーに反射して私たちの姿が映っていた。
その姿が、さっきのカップルたちと重なって。
…私たちも端から見たら、恋人同士に見えるのかな。
そんな考えが不意に頭を掠めたものだから。
「っ!!」
途端に顔から火が出そうになった。
なな…何考えてんだろ?!私。
思い切り頭を振って、煩悩を追い払う。
「おい、何やってんだ行くぞ!」
その声で我に返ると、社長はもう次の角まで進んで立ち止まっていた。
「わわ…はーいっ!」
私は心拍数の上がった心臓を押さえながら、社長のところまで走った。
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