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第一章 帰省
20XX年9月上旬 東京 AM8:00
「・・・・えー、というわけで、今年の夏は例年よりはるかに厳しく、熱中症で倒れる人が・・・」
強い日差しの熱に起こされた私がテレビを付けて見ると、毎年恒例の夏の暑さと熱中症被害についての話し合いがニュースで報道されていた。
「つか・・・まだ、残暑きついし・・・あっつ・・・・」
私は冷蔵庫から冷えたでかいペットボトルの麦茶を取り出すと、コップに注がずにラッパ飲みした。
「はぁ・・・やっぱ、暑いときには冷えた麦茶だね~」
麦茶を飲んでひとまず落ち着いた私がふいにテレビに目をやると、ニュースの話題はいつの間にか暑さやら熱中症やらの話し合いから、子供たちに夏休みはどうだったかをインタビューするコーナーに切り替わっていた。
テレビの向こうでは、子供が笑顔で「プールに行った」や「海に連れてってもらった」など元気よく答えていた。
『夏休みか・・・そいや、社会人になってからは、あいつにあまり会いにいかなくなってたなぁ』
麦茶をラッパ飲みしながらニュースを見ていた私は、ふとある事を思い出して寝室に入った。
「確か、ここら辺にしまっておいたはず・・・」
完全に物置と化したクローゼットの中で、私はある物を探した。
「あった・・・これだ・・・」
それは私が大学2年生の夏休みに記録した、日記だ。
「“20XX年、夏休み記録 ○○大学3年 空野那波(そらのなみ)・・・うん・・・間違いない・・・」
ご丁寧に書かれた表紙は、私自身が忘れてはならない大切な思い出だという事を自分に伝えるために書き記したものである。
その日記を持って寝室を出ると、テレビの前に座って私はその日記を読み始めた。
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