第二章 再会

5/5
前へ
/9ページ
次へ
一度、溢れたものを制御できない私の顔は、次第に涙でぐちゃぐちゃになっていく。 「もう一度・・・もう一度だけ会えるなら・・・素直に・・・好きって言うから・・・だから・・・私の前に帰ってきてよ・・・・真・・・」 「じゃあ、泣かずに笑顔で素直になってくれよ?俺、那波の涙に弱くて笑顔が好きだってこと知ってるだろ?」 私は幻聴でも聞いたのだろうか? それとも空耳? その声はもう二度と聞くことのできるはずがなかったはずなのに、その声は突然後ろから聞こえた。 私が振り返ると、そこにはもういるはずのないあいつがいた。 「よっ。久しぶりだな。那波。那波にとってはあの日以来かな?俺ももう一度だけ会いたかった。」 そう、私の目の前にいたのはあの日、私が素直にならなかったのが原因で命を落とした、宮田真(みやたまこと)だった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加