一日目 (1) 誘い

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すると、一枚の紙切れが手に触れた。 その紙切れをポケットから取り出す。 そこには 「忘れないように」 と、妻の字で書かれてあった。 私はその瞬間、妻に牛乳と卵を買ってくるように言われていたのを思い出した。 「あぶない、あぶない」 そう自分に言い聞かせるようにつぶやくと、近所のスーパーマーケットに行くことにした。 電車がホームに到着する。すでにたくさんの人が乗車しており、帰りの電車もかなりの混雑だった。 周りの人たちの雪が溶け、自分の手に触れる。 何とも言えない嫌悪感を抱きながら電車に揺られていた。
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