交換と代償

一日目 （1） 誘い

身体を屈めながら歩いていた時、ふと、路の途中にある雑居ビルの看板に目が止まった。

「交換します」

とだけ書かれている。

この類いの怪しいテナントは周りにもたくさんあった。

しかし、なぜだか妙にこの看板が気にかかった私は、まるでなにかに誘われるかのようにその雑居ビルに入っていった。

入ってすぐ、入り口の右にある雑居ビルの案内を見ると、その看板の示す階は四回生にあるらしい。

私はエレベーターを呼び、四階へと向かった。

エレベーターの扉が開くと、廊下の奥のほうに何の変哲も無い事務所の入り口が見えた。