一日目 (2) 入口

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私は光に群がる虫のように、ぼうっと光る机上の明かりにつられて歩き始めた。 机の前にイスが置かれている。特に何かを考えるわけでもなく、その席に座る。私が座ったとたん、目の前の女性が話しかけてきた。 「交換なさいますか?」 私は彼女の言っていることが理解できなかった。 「交換?何かと交換するんですか?私は何も持ってませんよ」 彼女は、まるで何事でもない様子で 「あなたの寿命です」 と小声で囁いた。
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