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どれほど時間が経ったのだろう。
しばらくして我に返ると、一刻も早く部屋を出たいと考えた私は、事務所を飛び出した。
去り際に彼女の様子を伺うと、先ほどと全く変わらない、「笑み」らしきものを浮かべていた。
ここにいてはいけない。そう感じた私は、事務所を飛び出し、階段にむかった。あちこちにぶつかりながらも、大急ぎで走り、ビルを出た。
外の雪は止んでいた。
路面には、歩いてきた足跡が残っていないほど、雪が降り積もっていた。
急に寒いところに出たからか、頭に鈍い痛みを感じた。
外に出た寒さで、ポケットに手を入れる。
そこには紙切れが入っている。
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