一日目 (2) 入口

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そして、ぼぉーっとした頭のまま、スーパーマーケットでの買い物を終え、家にたどり着いた。 「今日はずいぶんと遅かったわね。何かあったの」 少し苛立った様子で妻が尋ねてくる。 居間の時計を見ると、二十三時だった。 普段は十九時には家には着いている。 スーパーマーケットに行ったからといっても遅すぎる。 どれほど長い間あの事務所にいたのだろう。 思い出したくもないことだ。 今はあの事務所に居たことを一秒でも早く忘れたかった。
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