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「成瀬っ……!」
サクちゃんはしゃがんでいた俺の首に腕を回すとしがみつくようにして抱きついた。
「さ……くちゃん……?」
「本当は俺……ずっと前から……成瀬のことが好きだったんだ……!」
え
サクちゃんが
俺を……好き……?
突然のサクちゃんの告白に目が丸くなる。
「一目惚れだった……出会ったときからずっと成瀬が好きで……好きだなんて言えるわけないし、成瀬としゃべっても目合わせてくれないから嫌われてると思ってたし……だけど……唇が好きだって言われて……これはチャンスかもしれないって思った。キス、出来るようになったら……そのうち俺のことも好きになってくれるかもって思ったの……」
―――さわっていいよ?
―――いいよ……キス、しよ?
だから自分からあんなこと……。
「成瀬とキス出来るようになって、成瀬が俺を求めてくるたびすごく嬉しかった。でも、いつまで経っても成瀬は俺の唇しか見てくれなくて……俺じゃなくて俺の唇でイッてるんだと思ったら悲しくなって……なのに自分の好きって想いはどんどんデカくなるから苦しくなってきて……もう耐えられなくて……本当は……いっぱいいっぱいだった」
サクちゃんは俺の背中に腕を回すとギュッと強く抱きしめる。
「好きなの……成瀬のこと……好きなんだ……!」
サクちゃん……。
胸がきゅううぅぅって苦しくなって、体全体がぶわああぁって熱くなって……
どうしよう……俺、サクちゃんの唇より、サクちゃんが大好きだ。
好き……好き……。
「ありがとうサクちゃん」
こんなどうしようもない俺を好きになってくれてありがとう。
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