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そんなことがあって、オグノスはすっかり調子に乗ってしまった。
胸に宝物のルーペをぶら下げ村の子供たちを引き連れて、冒険と称し人気の少ない場所を散策した。ただし夜の外出だけはしなかった。それで大人たちも容認していたのだが、土地の神様を祭る社を冒険した時にはさすがに叱られた。
しかし雨風にさらされ色の禿げたそのさみしい小屋で「神様」――黄金とルビーで飾り立てられた太陽のような鏡を見つけた興奮は、オグノスをさらに駆り立てた。
もっとだ、と彼は思った。もっと探したい、もっと美しいものを、自分は手に入れられるはずだと信じて疑わなかった。でもそれは、今ではない。少年オグノスは父の猟を手伝う傍ら読み書きを学び、休日には隣街の図書館へ通うようになった。自分を待っている宝物たちについて調べるために。
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