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「しかしねぇ、あなたほどついてる男は見たことがない。にらんだ場所は徹底的に探し、最後にゃぜったいお宝がたんまりと出てくるなんて、他の男じゃないことです。まるでお宝どもと交信してるみたいだ」
「俺と海賊を一緒にするな」
酔っ払い相手に素面で話すのもばからしく、オグノスは酒を一気にあおった。航海士はすかさず注ぎ足す。
「俺はしっかり調査してからしか動かない。それだけだ」
「そう、そうやって一生懸命にやって手に入れた宝を、あなたって人は簡単に手放してしまう。それも、ものの価値もわからないような成金やお貴族さまたちにですよ、王都の博物館級の宝物を!」
「またその話か。お前が怒るから、最近はきちんと国に還元してるじゃないか」
調子づいて立ち上がる航海士を見上げて、オグノスはげんなりしてしまった。このやり取りを、この十年で一体何度繰り返しただろう。
「俺は宝物なんか見飽きちまったんだよ」
「じゃあなぜ探し続けるのですか?」
「わからん。探すこと自体が、好きだったんだろうな」
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