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(一)
凪いだ海原のただ中で、船の上のオグノスは身を乗り出し、じいっと目をこらしていた。
空は雲一つない晴天。だというのにこのアトランティカ海域は、昼の眩しい太陽でも照らし出せないほど深かった。こうして無言でのぞきこんでいると、巨大な群青が遠退いていくような、こちらへ向かって迫り出してくるような、ひどいめまいに襲われる。
オグノスは一度きつくまぶたを閉じると、ため息と共に遠い景色に目を向けた。
辺りには小島の陰もなく、ただ色の深いガラスのような海が水平線まで続くだけ。遥か東のけぶる彼方には、陸地が見えた。
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