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「まったく……後先考えず行動しすぎなのよ……」
消え入りそうな声で、女。
普段の気丈さが嘘のように、頭を垂れてしょげかえっている。
まいったな、こんなんじゃ調子が狂っちまう。
何処と無く視線を彷徨わせていると、ショートカットはキッと顔を上げて、
「もう、昔の私たちじゃないんだからねっ!」
少し震えた声で叫ぶ女。
瞳には涙がたまっている。堪えきれず今にも溢れ出そうだ。
チクリと胸に痛みを感じた俺は、何も言わずにそっと彼女を抱き寄せた。
そして、耳元で囁く。
「悪かった、今度から気をつける」
肩に頭を押し付け嗚咽を漏らす彼女の頭を撫でながら、俺は思い出していた。
昔の私たち、か……
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