一章

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春の朝早く、日が昇る前の時間帯 2人の少年が、剣を模した木剣で、激しく攻防を繰り広げていた 「ねっ、この辺、でっ、止めに、しない」 カンッ  ヒュッ   ガッ  カンッ 手に握る木剣をぶつけ合い、時には避けて、次の攻撃を仕掛ける等の攻防の最中、2人のうちの1人が、攻防の終了を提案をした この少年の名前は、ユンファ・レイズ この国トリエルの都市であるここリグルでは、ある程度名家で知られてるレイズ家の次男。 ユンファの修練の相手であり、先程の提案を持ちかけた相手の少年も、木剣での攻防を止めずに、口を動かす 「話す、余裕が、あるん、だな」 ビュンッ  カカンッ   カッ  ブンッ この少年の名は、タクト・マーズ タクトもユンファのように器用に答えていたが、まだ不完全燃焼のようで、最後に放った一撃は、不機嫌さが仇となり、大振りの攻撃になってしまう。 そしてそれはユンファにバックステップで避けられた。 「いや、今日は色々と特別だしね?」 距離を取ったユンファがタクトに諭すようにそう言った 「わかった……」 それを聞いたタクトはユンファが既に止める気でいるのを察し、しぶしぶ構えを解いた ユンファの言う特別は、タクトも内々で分かっていたため、習練は早めにきりあげることにし、その特別と言われるイベントに向かうこととなる。 そして、今日の特別と言われるイベントは学園の入学式であった
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