三光鳥

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何が起きたのかわからず、パニックになりながらも逃げようとする鳥。 男が両手で優しくその翼を覆ってやると、ようやくおとなしくなった。 そして数秒のうちに鳥は男の手の中で姿を“本”へと変えていた。 小鳥と同じ薄紫色の本。 男が指を鳴らすと、金色の鳥かごが現れる。 その中にはすでにいくつもの“本”が積まれており、薄紫色の本も仲間入りをした。 ポケットから懐中時計を取り出した男はぼやく。 「ああ、もうこんな時間だ。早く行かなくては。」 そして、金色の鳥かごを持って、夜の街の中に姿を消すのだった。
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