第一章 彼方からのもの

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「……………やめよう」 そんな、いくら考えたところで、答えのでない問いなんて、考えるだけムダだ。 気持ちを切り替え、台所に向かい朝食の用意をする。 とは言っても、単にトーストを焼き、目玉焼きとサラダを用意するだけだが。 ちなみに僕は目玉焼きには醤油派だ。 朝食を済ませ、部屋に戻って着替えてそのまま家を出る。 ………暑い。 まだ5月半ばだと言うのに、なんなのだこの暑さは。 確かに僕は雨よりも晴れの方が好きだが、だからといって、雲一つない快晴は嫌いを通り越して最早憎らしい。 キチンと季節に相応しい、それ相応の暖かさにしてもらいたいものだ。 そんなふうに、大自然に対して内心で文句をつけている内に、人通りの多い通りにきていた。 僕は雲一つない快晴は嫌いだといったが、それと同じくらい人混みも嫌いだ。 他人とすれ違うというだけでも、おぞましいというのに、肩がぶつかった日なんかは、その日一日中、気分が悪くなる。 かと思っている今も、通りすがりのサラリーマンと肩がぶつかりそうになる。 気持ち悪いったらない。
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