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爽やかな天気とは真逆に陰鬱な気分のまましばらく歩くと、僕の通う、私立朱夢(あかゆめ)高校が見えてきた。
朱夢高校は特別、進学校というわけではなく、かといって所謂不良の集まる高校というわけでもなく、良くも悪くも生徒も教師も中途半端な高校なのだ。
さらに、この高校は校則もそこそこ緩く、なんとなくのんびりとした雰囲気の漂う高校でもある。
とはいえ、僕自身はこの高校のこの雰囲気は嫌いではない。
何も目的もなく、ただただ無為に日々を過ごしている僕にはちょうどよい。
下駄箱で靴を履き替え、三階にある、自分達の教室───1ーB───に向かう。
ふと、何やら今日は普段に比べ
少しだけ騒がしいような気がする。
「…………まぁ、僕には関係ないけど…」
結局僕はその喧騒を大して気にとめず、再び教室へ向かった。
ドアを開け、教室に入った瞬間、クラス全体が一瞬シンと静まり返る。
そしてどこか気まずそうに、友人同士で話を再開する。
こうまであからさまな反応をされると、さすがに気分が悪くなる。
(……仕方がない、か)
入学から1ヶ月以上立っても、未だにまともな友人一人作らず、基本的に一人でいて、なおかつこんな目立つ容姿をしているのだ。
他人が近寄りがたいわけだ。
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