第一章 彼方からのもの

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突然だが、僕は他の───世間一般で言う、普通の人間とは少しだけ違う。 いきなり何を言ってるんだコイツ……だなんて思うかもしれないが、ひとまず置いておいてほしい。 僕は、生まれた時から───かは解らないが、少なくとも物心ついた時から、他の人間には見えないものが見えていた。 幽霊? 妖怪? 法皇の緑? そのどれでもない。 自分にだけ見えるもの、それは───〈ダイス〉。 双六やらDDMで使ったりする、あの〈ダイス〉だ。 何故そんなものが見えるのかって? そんなのこっちが知りたいくらいだ。 この〈ダイス〉は常に見えているわけではなく、僕か何かしらの行動をとろうとした際に、視界の端に現れるのだ。 そしてこの〈ダイス〉は、時には六面ダイスだったり、時には八面ダイスだったり、そして時には十面ダイス2つだったりするのだ。 まぁ、殆どが十面ダイス2つなんだが。 では、この〈ダイス〉達が、僕が何かしら行動を取ろうとした時に現れるのは、前述したばかりだが、その時の僕の行動はどうなるのか、だ。 その時の行動───例えば、探し物だったり、言い訳だったり、他人の説得だったり───は、〈ダイス〉───主に十面ダイス2つ───の出目によって、その正否が決まるのだ。 どういう理屈なのかは聞くな。 僕にだって解らないんだ。
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