第一章 彼方からのもの

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あぁ、今更ながら、僕の名は瀬良江 那琴(セラエ ナコト)という、微妙に珍しい名字と、他に類を見ないであろ名前を持つ、先ほどの〈ダイス〉と中学校時代友人が一人もいないことと、他校の知らない男子生徒に思いを告げられ、男であることを理由に断っても『それでも………いや、むしろそれがいい!』などと言って襲いかかってきたので〈武道〉+〈キック〉で盛大に撃退してやったことがあること以外は、ごくごく普通の男子高校生だ。 ………………おや?自分で言っておいてなんだか全く普通じゃない気がしてきたぞ……? ………まぁ、そんなことは気にしない。 ともかく、これが、僕───瀬良江 ナコトという人間の、他人に語ることのできる───いや、やはりあまり他人には語れないな、コレは───これまでの半生だ。 …………もっとも、それを語る友人も知人もいないが。
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