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ー文久三年 二月
とある一室ー
「…」
誰かがやってくる気配で目が覚める
ヒュン
カンッ
まだ寝ている状態の自分に
向かって何かが飛んでくる
反射的に忍刀で払いおとし、
後ろに転がる
爪先立ちでしゃがんだまま
腰に着けている手裏剣を
相手に向かって投げた
「がっ!?」
避けようとしていた相手
だが、足元に手裏剣が刺さっていた為動くことが出来ない
「…まだまだだな、秋人
圓家の名が泣くぞ?」
「うるせぇ…
お前が凄すぎんだよ」
戸の外から一人の青年が現れる
彼は忍の里、柳(やなぎ)で
長をしている圓 誠一郎(まわり せいいちろう)の一人息子、
圓 秋人(まわり あきひと)。
忍としては
かなりの実力者だが、
まだ危うい所のある人物だ
「で?
私に何の用だ?」
「あ~っと…
長から呼び出し」
「な!?
それを早く言え!!!」
秋人の一言で
私は慌てて着替え始める
「秋人!!
出てけ!!」
秋人を追い出すことも
忘れない
知られているとはいえ、
着替えを見られるのは
いい気がしない。
…私が女だということを
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