ユグドラシル

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◆◇アキト◇◆ …僕は死んだのか? 突然の事だった。剣が僕の首に飛び込んできた。 首輪は弾け飛び、血が溢れ出した。途端に息も出来なくなり、意識を失ってしまったようだ。 …はぁ、まったく、何回死ねば良いんだ。 同じようなシュチエーションにウンザリして思い切って目を開けた。どうやら僕はまだ生きてる。目を覚ますと首輪の代わりに包帯が巻かれていた。誰かが治療してくれたようだ。 「ここはどこだ?」 辺りを見渡す。少し薄暗いが犬の目には良く見える。 すごく広い部屋だ。 黒を基調にした壁にダーツのボードが掛けられている。様々な種類のお酒が飾られるように棚に並べられ、グラスを傾けるのに最適なカウンターまである。 大人のお店に迷い込んだのかな?…一瞬そう思ったが違うようだ。 部屋の反対を見ると壁紙がガラリと変わり、可愛らしいクマのイラストが満遍無くプリントされていた。置かれたテーブルには子供の好きそうなお菓子が山のように積まれている。飲み掛けのジュースややり掛けのジェンガがその人物の飽きっぽさを窺わせた。まさに子供部屋と言った感じだ。 植物も好きなようで、部屋の所々に観葉植物が置かれている。 とある一角になると足の踏み場も無いぐらい置かれている。と言うより床から直接生えている物まであるみたいだ。 反対を向くと運動で使うダンベルやバードルがその辺に転がっていて、奥の方にはジムなんかにあるようなトレーニングマシンが多種設置されている。 壁には何故か筋肉質な黒人がポージングしてウインクした巨大ポスターが貼られていた…。 この部屋はおかしい。 最後は特におかしい気がするが、全体的に一貫性が無く、まるで趣味の寄せ集めのようだった。 極めつけは部屋の中央にポツンと置かれた黄色いソファ。 まるでここが自分のテリトリーだと言わんばかりに周囲には何も無かった。 状況を纏めるとこの黄色いソファを中心に、八角形に部屋が広がっていて、×を描くように四方にそれぞれ謎めいた箇所がある。その箇所の奥にも部屋があるようで扉がついていた。ちなみにトレーニングコーナーの黒人さんはその扉の奥から覗かせているプライベートポスターだ。
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