探しモノ

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◆◇???◇◆ 身体中から痛みが走った。 腕は逆方向に曲がり、足からは骨が突き出している。 どうやら肋骨も折れているらしい。いつもよりスリムになった身体がひんやりとしたアスファルトにへばり付いていた…。 何が起こった? 僕は痛みの中で鈍く考えを巡らせた。 「うわぁ、やっちまったよ…。」 動揺が混じる男の声が聞こえた。 「ちょっと!どうすんのよこれ!」 続けてヒステリックに女が喚いた。 僕の目にぼんやりと男女の姿が映し出される。二十代前半といった所の若いカップルだ。 男女の後ろにヘッドライトの明かりが見える。どうやら僕は車に轢かれたらしい。 「ねぇ病院に連れてってあげようよ!」 「いやぁこれはさすがに…てかこいつ生きてるのか?」 僕の今後の運命を左右する男女の会話が聞こえてきた。 僕なら生きている。 そう伝えたかったがその方法が思い付かない。身体はピクリとも動かなかった。 目もまるで動く事を拒否するようにただ一点を見つめる事しか出来なかった。 唯一動かせるのは肺だけ。幸い折れた肋骨が刺さる事もなく無傷のようだ。 今生きている事を伝えられるのは呼吸だけだった。 「ヒュー…ヒュー…。」 肉に押し潰されて満足に膨らまない肺から僅かな息が通り抜けた。 その笛のような音に気付いたのか、男は僕の口の近くに耳をあてた。 「…息はしてる。」 「ねぇやっぱり病院に…!」 「で、でも、俺たち警察に捕まるかも…。」 「だけど放って置くなんて出来ないでしょ!」 気弱な男を女は叱りつけた。 男はため息まじりに了解して僕の両脇を抱き寄せた。 「おい手伝えよ。結構重いぞ。」 刺激を与える度に口から血が溢れ出す。アスファルトから引き離すと僕の身体は重力に沿って手足をぶらつかせた。 痛みはすでに無く、少し乱暴にされても平気だった。
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