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「で、そのいいことって言うのは?」
ミタラシの顔を遠ざけ、冷静に対処する。
「それが――これだ!」
某ネコ型ロボットが自分のポケットを漁るようにミタラシもポケットを漁り、得意げな表情で高く掲げたのは50円玉だった。
「ほぅ、50円。良かったな」
僕はもう一口エイリアンバーガーを口に含む。これにピクルスがあるともっといい味になると思うんだけどな。
「じゃなくてさ! ほら、よく見ろよ!」
僕からエイリアンバーガーを取り上げ、無理矢理に50円玉を見せる。
しかし、よくよく見ると、50円玉の穴の位置が少しずれている。
稀に見る貨幣局のミスの産物に、僕も自然と見入ってしまう。
「な!? すごいだろ! それだけじゃないぞ。年号を見てみろよ」
「年号ねぇ……あ、お前の生まれた年じゃないか」
「そうなんだよ! これはいいお守りになるぞ! 死んだ爺さんの形見のお守りよりもな!」
ふと、妙な感覚を覚えた。これは近くに何かがいるパターンの身体の反応だった。
僕の部屋にいた成仏したであろうゲイの霊の声を聴いた時も同じようなことが起こった。
「どこだ?」辺りを見回し、存在を確かめる。すると、以外な場所に目が留まった。
ミタラシの背後、恨めしそうな老人がひたすらミタラシの後頭部を殴り続けていた。
――おじいさん、お孫さんは、今日も元気です。
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