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――僕がこの世界に違和感を感じ始めたのは、つい最近のことじゃない。昔からだ。
この世界、この現実が今まで僕が過ごしてきた現実と少しだけ、違うということを第6感とも言えようか、そんな何かが感じとった。
今ではその似て非なる現実が僕の現実で、僕の世界。慣れてしまったと言えば皮肉モノだ。
両親が死に、ばあちゃんが死んだ瞬間に僕の現実が崩れ去ったのだろう。まぁいい、この現実も、この世界もそれほど嫌いじゃない。
彼らがいるからだろうか。
今僕は、小さなボロアパートの管理人をしている。死んだばあちゃんから受け継いだ唯一の形見だ。
名前はコーポ杉並。
とても普通な名前で、見た目も一見どこにでもありそうなボロアパート。価格も破格だ。値段なんか売りじゃない。
部屋は各2DKになっていて、風呂とトイレも常備されている。
ただ、普通じゃないと言えば住居人だろうか。僕以外には普通に見えるのだろうけども。
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