1人が本棚に入れています
本棚に追加
僕に兄弟はいなくて、両親はばあちゃんより早く死んだ。
結婚30年を迎えた2人の慰安旅行として、山形に向かっている途中事故に遭った。即死で加害者の男性は今も刑務所にいるらしい。
それからしばらく実家で1人暮らしをしていたが、実家を売り払いって小遣いにしろ、
とばあちゃんがそう言うので売り払った。
そこから、無償でばあちゃんが管理人をしているこのアパートに越してきたのだが、突然死んでしまった。それから数日後、ばあちゃんのものと思われる遺書が出てきた。
その時からだ。
僕の現実と世界が壊れ始めたのは。
遺書によると、僕の家系は昔から続く陰陽家の弟子でそれなりの力を持っていたらしい。こんなアニメみたいな話、最初は全く信じていなかった。
死ぬまでイタズラ好きのばあちゃんの最期のドッキリだと思っていた。(実際、密かに親戚に死んだら棺に大量の爆竹を入れて焼けと命令したらしい。おかげで火葬場がちょっとしたダイ・ハードだった)
名前は詳しく覚えていない。阿倍野ナントカ、僕がその弟子の末裔らしい。
今思えばその時だって馬鹿馬鹿しくて逆にそんな世界を信じてみたくなった。先祖代々から受け継いできた特殊能力を持つ。日本のみならず世界共通の最高のステータスだ。
X-MENのニュータントたちも、最初は自分の能力を信じなかったはずだ。某高校生探偵も生まれながらに持ったその才能を負に思ったことはないだろう。
最初のコメントを投稿しよう!