依頼1 思い出の花

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「ソフィーッ!!!」 血を口から零しながらも、 アスベルが地面に 叩きつけられた 少女の名を叫ぶ。 駆け寄ろうとする彼に、 ソフィは頭をもたげて 制止の言葉を向ける。 「アスベルッ…!動いちゃだめ…!!」 「なっ…?」 「魔物はおれが惹き付けるっ!アスベルは動くなよ!」 少女の想いを受け取った ティトレイは宣言通り、 一人で暴走する ケイブレックスを相手にする。 「ティトレイ!?」 「心配すんなって!おれは…!」 ケイブレックスを 惹き付けつつ、 ティトレイは先ほどの ソフィと同様に 闘気を放出させる。 『うおおおぉっー!!』 全身に炎をまとい、 ケイブレックスを 担ぎ上げながらティトレイは 秘奥義を繰り出した。 『この炎から逃れらるか!今だ!おれは鳥になる!!紅蓮天翔ーーーー!!』 流石にこの技には堪えたか ケイブレックスは よろめきながら、 荒々しく息を吐く。 「くっそぉ…!まだ倒れねぇのかよこいつ…!!」 秘奥義を二つ食らっても 倒れない魔物相手に、 長期戦に依頼帰りだった ティトレイの体力が 限界を越している。 「俺も戦わなくては…!」 「だめ…!アスベルッ!!動かないで!!」 鞘に手をかけるアスベルに ソフィの切なる想いが 彼を止めるが、 剣を引き抜かねば 皆が倒れる。 アスベルは守るべき者の為に ソフィの制止を振り切り、 剣を手に掴んだその時 ケイブレックスを 囲む黒い円が浮かび上がった。 『レストレスソード!』 黒い細剣が詠唱よって 幾振りも落ちてくる。 アスベルは懐かしさよりも、 驚きが勝った顔で振り向いた。 「リチャード…!?」 「アスベル、久しい話は後にしよう。この魔物を遠くに払わなくては。」 高貴な者だという事は、 その身なりで想像出来た。 【リチャード】と 呼ばれる青年は、 涼しい顔をして闘気を 体にまとわせる。
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