依頼1 思い出の花

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『おかえりなさいっ!!アルゼ…!』 『ただいま、…カノンノ。』 感動の再会の後に、 ギルドリーダーの アンジュの所に行って 渡された依頼書がこれだった。 「ねぇ、アンジュ。これって俺の目が悪いの?」 「何が?」 書類を片手にロックスからの 差し入れのサンドイッチを くわえながらきょとんと アンジュは首を傾げた。 「俺がお願いした依頼書と全く違う気がするんだけど…。」 「アルゼ君が依頼したのって『剣の修業相手を探す』だったよね?」 「うん、だけど…。」 「アスベル君が出した依頼書じゃあ満足しないの?」 「う…、なんか筋が合わない…。」 頭に手を回して 考え込むが、 少し視線をずらすと 三角座りで落ち込む依頼主が ぼそぼそと喋る。 「誰も来てくれなかった…。」 「まぁーだやってんのー?」 ロックスのこしらえる おやつ目当てのガンナー、 イリア・アミーニが通りかかる。 彼女の言葉が相当効いたのか 彼の落ち込みようは 更に酷くなる。 「…俺には何も出来ないのか…、いや…俺だけでも…。」 ディセンダーとしての 血が騒ぐのか、 気が付いた時には 依頼主のアスベル・ラントの前に 自分は立った。 「アスベル、俺で良ければこの依頼受けるよ、いいかな?」 「…アルゼ…。ありがとう!!俺と共にソフィの記憶を取り戻そう!!」 彼、アスベルは途端に 目を煌めかせて喜んだ。 「アスベル君、これで締め切るの?」 「あ…それはまだ…。奥の方まで探索したいので…、草花に詳しい人が居てくれると助かるんです。」 「そうだね、なかなか珍しい花なんでしょ?見つけるのすごく大変そうだもんね。」 「アスベル。」 「ソフィ!?」 ひょっこり顔を出した この子がソフィ。 「だめじゃないか、ソフィ。俺が戻るまでシェリアと遊んでろって言っただろ…?」 「…アスベル、いいの。私、アスベルとシェリアとみんなと過ごせたらそれでいいの。」 「ソフィ…。」
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