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いまいち表情が分からない
ソフィの顔をアスベルは
困り果てた顔で見る。
丁度その時、船内に足音が
ドカドカと鳴り響く。
「よっしゃー!依頼完了してきたぜっ!!」
「…アンジュ、今戻った。」
「お疲れさま、ヴェイグ君、ティトレイ君。」
目をそちらに向けると、
依頼に出ていた
ヴェイグ・リュングベルと
ティトレイ・クロウの姿が
目に入ってきた。
「はい、依頼の報酬は…。」
「…ヘーゼル村に全て寄付してくれ。」
「分かったわ。それじゃ次もお願いするね。」
「あぁ…。」
立ち去る彼らを、
はっと思いついたように
アンジュが呼び止める。
「ティトレイ君は確か…花の事に詳しいのよね?」
「ん、そうだけどよ…。」
「アスベル君の依頼があるんだけど…、どうかな?」
ティトレイは一瞬迷うが、
ヴェイグが目配せで答える。
「分かったぜ!どんな依頼なんだ?」
「そこにアスベル君が居るから直接聞いてあげてね。」
優しさに溢れる笑顔を向けて、
アンジュは他の依頼書類の
片付けをする。
どんなに忙しくても
あの笑顔は片時も欠かさない。
「よっ!アスベル、依頼はどんなもんなんだ?」
「ティトレイ、ありがとう。えーっと…。」
依頼内容を話し出す彼の横で
ソフィと一緒に少し話をした。
「ソフィ、思い出の花ってどんな感じ?」
「うん、あったかいの。とても…好きな花なの…。」
「ソフィの花かぁ…、きっときれいな花だね。」
「…見つかるかな…?あの花…、私の…思い出…。」
横顔に見えたソフィの表情は
どこか儚げで不安そうだった。
「大丈夫、根拠はないけど、ソフィは大丈夫だよ。」
「うん…。」
話が終わる頃には
彼達の話も終わっていた。
依頼内容に納得した
ティトレイはやる気一杯だ。
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