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ヘーゼル村の管理地から
更に奥の樹海に入り込んだ時、
アルゼが足を止めた。
「アルゼ、どうかしたの?」
純朴なソフィが首を曲げて、
気を張り詰めるアルゼに
声をかける。
「…なんだろう?この感覚…ウズマキフスベのドクメントを、採取した時と感じが似てるんだ…。」
「『ケイブレックス』…か。」
依頼の報告書でしか
確認をしていないが、
アスベルが魔物の
名前を口に出す。
「アスベルやティトレイ。ソフィは『ケイブレックス』を見た事がないよね。結構強かったなぁ。」
「そんじゃ、こっから先もっと気を引き締めて行こうぜ!」
ティトレイが拳を固め、
先を歩き始める。
漂う魔物の気配に
気を配りながら、
四人は樹海の奥に進んだ。
「…随分開けた所に出たね。確かここ鉱物が採れるとこだ。」
「アスベル、あれ…シェリアにあげたら喜ぶかな?」
採掘ポイントが
ちらほら広がる中、
透明な水晶が落ちているのを
ソフィが見つけて駆け寄る。
「………。」
「ソフィ、どうしたんだ?」
アスベルの呼びかけに、
しゃがみ込んだまま
動かないソフィ。
少女は耳をそばだてるようにも
見てとれる。
「……ソフィ?」
「来るっ!」
普段物静かでおとなしそうな
少女が迫り来る気配に、
迎え撃つような気迫を
全身から解き放つ。
一同が戦闘体勢に入ると、
木々を押し倒し大型の魔物
ケイブレックスが
雄叫びと共に姿を現す。
「あれがケイブレックス…!」
「くっそ!戦闘は避けれねぇか!」
「皆、行くよっ!」
「……守る!」
一度同種の魔物と
幾度か戦った事のある
アゼルはすぐに治療術の
詠唱に入る。
ケイブレックスは
一撃が強く、
すぐにでも詠唱を始めて
万全で挑まなくてはならない。
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