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「私ら席近くになると思う」
美乃里が言い出した。
「どうして?」
「名簿って名前順じゃん?一ノ瀬と井多美って、『い』から始まるじゃん。だから」
「そう言えばそうだね。近くになれるといいね」
そんなことを話ながら教室に入った。
まだ時間があるけど、みんな教室にちゃんといた。
座っている人はごく少数。
友達のグループのようなものがいろいろ出来ている。
「……わたしの席あった。」
日向の席は一番窓側の後ろから二番目。
「私はー、日向の後ろだー!てか、い行って私らだけ?みたいだね」
美乃里の席は一番窓側の一番後ろ。
日向の後ろの席だった。
「ほんとに席近かったね、わたしたち。よかった」
「ほんとねー!てか、隣だれ?」
日向と美乃里は自分の席に座る。
「うーん、わからない。でもそのうちわかるよ!今は気にしないでおこ?」
「そうだね、どうせ同じクラスなんだしわかるか」
そんなことを話してたら担任の教師が教室のドアを開けた。
「はい、席着いてー!今日は入学式だし、早く帰らせてあげるからー」
どうやら教師のようだ。
20代前半といったところだろうか。結構若いひとだった。
「……っ!」
日向は担任の話を聞いていたらいきなり後ろから何かでつつかれてそれに驚いたのか、肩を思いっきりあげてしまった。
もちろん、犯人は美乃里。
「ご、ごめん。こんなに驚くとは思わず…」
小声で謝る美乃里に日向は
「うん、大丈夫。どうしたの?」
「うん、あの先生美人だなぁって思って…」
「男子じゃあるまいし、そんなこと言わないの。先生の話ちゃんと聞きなよ。」
日向も美乃里に合わせ小声で話す。
そんなことを話してたら隣の席の人とそのまた隣の人に笑われたようだ。
こちらをチラチラ見ながら体を震わせている。
日向と美乃里は顔を合わせ”なんで笑われてるの?”とアイコンタクトを交わしている。
女の担任教師、鈴木亜紀(すずき あき)が大声で言った。
「はい!じゃあ解散!!」
鈴木先生が言い終わった後、教室が一気にざわめきだす。
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