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「大根…みそ…ちくわ…今日はみそおでんかよ…」 眉をよせながら買い物リストを見る。 みそおでんはメルが嫌いな物。 最近、父はメルが嫌いな物ばかり作る。 嫌がらせかのように。 「絶対嫌がらせだ。暇人め」 リストをくしゃっと握りしめて捨てるかのように袋の中に入れる。 前を向き、歩いていると緑色の髪をした人が倒れていた。 方向は街に向かって。 駆け寄ってみれば、倒れている人は少女だった。 16ぐらいか。 背中まで伸びる髪が絨毯のように広がり、少女はお腹を押さえていた。 「おい、大丈夫か」 体を揺するが反応がない。 街の住人か。 だがこんな目立つ髪をしてるなら知ってるはず。 この土地で移住は認められない。 旅人なのだろうか。
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