9/37
前へ
/102ページ
次へ
「おい、目を覚ませ」 頬を軽く叩けば少女は目を覚ます。 弱ったような顔をしていた。 訳ありなのだろうか。 「大丈夫か?話せるか?」 そう聞けば少女は口を動かす。 よく聞こえず、メルは耳を傾ける。 「もう一回言ってくれ」 「…め…………し……」 「………………」 どうやら行き倒れのようだ。 ☆ 「いやぁー!助かりました!一週間前に食料が尽きて飲まず食わずで」 「よく生きてたね」 一週間も飲まず食わずでよく生きれるなと苦笑い。 メルは少女に握り飯を渡した。 父の袋の中に入っていたものだ。 3つあった握り飯はあっと言う間になくなった。 「もう、ビナーの街って遠いですよねー!あ、私は自分探しの旅人でしてコクマーから来たんですけどねぇ。遠い遠い!」 ちなみに、コクマーからビナーは街道をまっすぐ行けばいい。 メルの家は街からの外れでそこの近くで見つかった=道を間違えた。 すなわち方向音痴。 メルは変な物を見るような目をして少女を見た。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加