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「おい、目を覚ませ」
頬を軽く叩けば少女は目を覚ます。
弱ったような顔をしていた。
訳ありなのだろうか。
「大丈夫か?話せるか?」
そう聞けば少女は口を動かす。
よく聞こえず、メルは耳を傾ける。
「もう一回言ってくれ」
「…め…………し……」
「………………」
どうやら行き倒れのようだ。
☆
「いやぁー!助かりました!一週間前に食料が尽きて飲まず食わずで」
「よく生きてたね」
一週間も飲まず食わずでよく生きれるなと苦笑い。
メルは少女に握り飯を渡した。
父の袋の中に入っていたものだ。
3つあった握り飯はあっと言う間になくなった。
「もう、ビナーの街って遠いですよねー!あ、私は自分探しの旅人でしてコクマーから来たんですけどねぇ。遠い遠い!」
ちなみに、コクマーからビナーは街道をまっすぐ行けばいい。
メルの家は街からの外れでそこの近くで見つかった=道を間違えた。
すなわち方向音痴。
メルは変な物を見るような目をして少女を見た。
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