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『メル』
女性が男の子を呼ぶとメルは駆け寄って行く。
こちらへやって来るとメルに向日葵を渡す。
『笑顔の花よ』
『笑顔の花?』
『えぇ。この花はね、太陽の光を浴びて空に向かってぐんぐんと成長して、大きな花を咲かす花なの』
穏やかな目をしながら語る母。だがメルは首を傾げだた。
『なんで笑顔の花なの?』
『だって元気いっぱいに咲く姿は、元気が出て笑顔になるじゃない』
そう母が言えば、父は寄り添うように母の肩を抱き二人は立ち上がる。
『ねぇ、次はいつマジックショーやる?』
そう言えば、二人は複雑そうな顔をすれば
『いつか、きっと』
母がそう言った。
またやるんだ!いつだろう。
次の街に移動するんだ!
そんな風に楽しみにしていた。
次の街に着けば母さんの大好きな向日葵畑がある街。
けれども、母さんは病になり亡くなった。
それ以来、父さんもマジックショーをすることはなくなった。
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