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「ルーン様!」 兵士が男の名前を呼ぶ。 メルはその名前にピクリと反応をする。 「ルーン…?ルーンって…」 信じられないと言わんばかりに目を丸くするメル。 ルーンはフンッと笑い、メルを見下す。 「想像通り、僕の名前はセルティク帝国第九十九代皇帝、ルーン・メルト・セルティクだ」 「なっ!?」 メルは信じられなかった。 それより、皇帝に攻撃をしてしまった。 掠り傷とはいえ、ただじゃすまない。 「僕がわざわざ、ここに来たのになんだい?この仕打ち。酷いじゃないか。メル」 ルーンはメルの頬にそっと触れる。逃げたくても逃げれない。金縛りにあっている気分だ。 「せっかく、君たちを見つけたらやって来たのに。なんで今まで気づかなかったんだろう」 笑いながらルーンの右手にはナイフが握られていた。 これはメルを刺す気だ。 避けなければと思うが、体が動かない。
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