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この倦怠感は地上の重力だと、以前ケイが教えてくれた。
人間が日常で当たり前に感じている重さだと。
そのせいで“人間”は“俺たち”みたいに速く走れないし、高くも翔べない。
俺以外のみんなは自分で制御できる分、重さや体力の消耗は増すらしい。
この身体でこの生活をしてる以上、きっと慣れたりしない。
力を隠すっていうのは、それくらい面倒くさいんだ。
だからトモの術で覆われて、力も隠してくれるあの家の中にいた方が俺は楽なんだけど。
それに、
「……お腹、空いたな」
俺はみんなより、燃費が悪い。
外の空気を察知した胃ではないどこかが鳴いて、俺は雑踏に向けて足を進めた。
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