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とにかく何でもすぐに謝ります。これ基本です。
マシンガンのように飛び出してくるユイの言葉は、耳を傾けるだけドツボにハマる。
半分も理解できないうちに話題が変わるもんで、てんで着いていけない。
謂わば考える余地を与えないスペシャリスト。
正面から見たらセミロング、背面からみたらボブの、呼び方が難しいユイの黒髪が風に靡く。
言葉を遮られて怒ったのかと思えば、視線は俺を通り越して一点を追っているようだった。
「ユイ?」
「戻りますよ。チビ」
「え?」
振り返って彼女の視線を辿ってみても、一定の人波に俺には何も見付けられない。
「依頼人が来ます」
ユイはやっぱり俺を見ずに、静かに言葉を紡いだ。
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