天壌無窮

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□□□ 天井に付けられた空調のプロペラが、緩やかに埃の粒をかき混ぜていた。 磨りガラスの小窓から射す陽に眉をしかめて、俺は壁を背に寝返りを打つ。 「……誰かぁ、いないのー?」 しんとした部屋に、声は虚しく吸い込まれていく。 平屋建て日本家屋の一室。少しして障子の向こうでキシリと床が軋んだ。 「いるんなら返事してよ」 頭痛と眠気に目頭を押さえて、体を起こしながら言った。
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