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◆ ◆ ◆
はぁ……はぁ……
長く辛い旅路。
「やっと……ここまで着いたわね……」
「長い旅だったな……」
僕の後ろを歩く魔法使いと格闘家がそう呟く。
「あぁ……ここで……ここで全てが終わる……」
2人の顔を見ながら僕はそう言うと、後ろを振り返り目の前にある城を睨んで叫んだ。
「この魔王城が旅の最後だ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
さすが魔王がいる城だけに人間界にある城と違い、何かしらの威圧感が僕達を襲ってくる。
「私達……勝てるかしら……」
魔法使いがボソッと呟いた一言に、勇者の俺でも不安に駆られる。
「だ、大丈夫さ!! 僕達は勇者だ!! 今までだってどんな困難だろうが僕達は乗り越えてきたじゃないか!!」
「そうだぜ魔法使い!! お前がそんなに弱気になってどうする!? 勇者の言う通り、俺達なら乗り越えられるさ!!」
格闘家が魔法使いの両肩を掴み、力強く勇気付ける。
「…………うん。そうだよね? 私達は勇者の仲間だもん、弱気になってちゃダメだよね?」
少し涙ぐみながらも笑顔を見せる魔法使い。
ああ……、この戦いが終わったら、二度と君を泣かせやしない。
俺は魔法使いの頭を優しく撫でると、魔法使いはうんと頷き心強い顔へと変わった。
そして俺達は魔王城へと近付いていく。
「勇者よ、この城は魔王城だ。どんな罠が仕掛けてあるかわからんぜ」
「うん、それと今までよりずっと強い魔物がいるに違いないわ」
「あぁ……みんな慎重に行くぞ」
そして城の大きな扉に手をかけ、この長い旅路の最後の門を開こうとした。
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