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トラックは、左右の塀にぶつかりながらこちらへ向かってくる。狂っているように、蛇行しながら私たちを目指して。
避けられない。その瞬間に私は確信した。
両サイドは塀に囲まれている。
先程通った交差点はすぐ目の前にある。
そこでやりすごすしかない。
トラックはスピードを落とすことなく、こちらに向かってくる。
このまま前にダッシュしたとしても、あっという間にトラックに追いつかれてしまうだろう。
私は交差点に向かおうと考えた。須田も助かる為には同じ考えだろう。
須田の方に目をやる。
しかし、須田はすっかりと恐怖に支配されてしまっている様子で、足は左右に大きく震えている。
ここで、親友を裏切るわけにはいかない。私は親友に駆け寄り、親友の手を掴み、思い切り、引っ張りながら交差点に向かう。
足に力が入らなくなっている須田も死にたくない一心で最後の力を振り絞る。
トラックはかなり近づいてきていた。
今ならまだ間に合う。
猛スピードで迫りくるトラック。
全力で交差点へなだれこもうとする私と須田。
猛スピードのトラックに向かい走るのは想像を絶する恐怖だ。
目の前の交差点に私たちはトラックより一瞬早くたどり着いた。
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