アクアの詩

ボール

こんにちは
サッカーボールです。

僕には沢山の友達が居ます。

みんな、いつもとても笑顔。

やっぱりサッカーって楽しいや。

でもね？

僕はサッカーボールだから、サッカーをやらない時は誰も構ってくれないんだ。

でも、休み時間はみんなの視線は僕に釘付け。

必死に僕のことを見失わないようマークするんだ。

サッカーをするときはみんな笑顔。
ボクハワライモノ。

小学校はいい所だったよ。

次に行ったのは中学校。

さすがにみんな力が強くてさ……。

新鮮味もないしだんだんと嫌気が差してきた。

だからサッカーをボイコットしたんだ。

そしたら僕はラグビーボールになった。

きっと、物の神様が僕の姿を変えてくれたんだよね。

楽しかった。

でも、みんな僕を使い終わると素っ気なくグラウンドに放置して家に帰っちゃうんだ。

先生はちゃんと構ってくれるよ。
僕を丁寧にタオルで拭いてくれる。

さすがはサッカー部顧問。

僕の他にも今まで何十ものボールをあのタオルで拭いてきたのかな？

でも僕は一年二組のボールだからさ……部活の仲間達には会えないんだ……。

やっぱり寂しい。

遊んだらちゃんと片付けないとね。

そして高校。

ついにここで僕は役目を終える事となる。

サッカー部の先輩の豪速球……。

僕は人を一人殺しかけちゃったんだ。

たかがボールでも頭に当たるのは危ないよね。

そして

その後

僕はあまりの衝撃に破裂してしまったんだ。

噂によると、すぐにまた新しいボールが導入されたらしいけど……。

なんかちょっと寂しいなぁ。

今度は人間に生まれてこれますように。