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「諦めなよ?」
「くそっ……!」
抵抗は無駄だと理解したのか、力無く崩れ落ちた男。
同時に周囲から拍手が巻き起こる。
「いやー……大した事ないっすから!」
それに咲が会釈しながら答えていた。
実質上何もしていないのにね。
これは卵をもう1パックぐらい買ってもらう必要が有りそうだ。
男を警備員に引き渡した僕は、特売では無い卵販売ブースへと足を向ける。
そんな僕の進路に、先程助けたおば様が割り込んできた。
「アンタ! 有難う! これ――」
そう言って差し出されたのは、先程おば様に譲った卵1パック。
もしかして――
「頂けるんですか?」
「ああ。助けて貰ったお礼だよ!」
そう言っておば様は卵を手渡すと、手を振りながら店を後にした。
何はともあれ、当初の目的は達成出来たね。
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