359人が本棚に入れています
本棚に追加
出来る事なら精算まで済ませておいてくれれば――
さすがにそこまでは望み過ぎかな?
「リョウ! 手助け感謝っす!」
そう言って笑顔を見せた咲。
少し首を傾げた為か、茶色いツインテールの髪がゆらりと揺れる。
感謝を示す様に、普段は二重の茶色い瞳は細く狭められていた。
凛とした鼻の下に有るふっくらとした唇は、口角に引っ張られ角を吊り上げられている。
――可愛いんだよね。咲って。
僕より10センチ程低い身長もまた、彼女の可愛さを引き立てる要素だ。
「ん? どうしたっすか?」
「サキって、喋り方はアレだよね」
「アレってなんすか……」
「気にしたら負けだよ。さて……特売の卵は手に入ったから、サキにはニラを買ってもらおうかな」
今夜のメニューを先程決めたんだよね。
ニラ玉に。
咲と二人で野菜売場へと向かう。
道中、現場を目撃していた様々な人に声を掛けられ、若干うんざりしつつも何とか辿り着く。
最初のコメントを投稿しよう!