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売場に並べられた色とりどりの野菜から、目的であるニラをゲットした僕。
それを咲に手渡し、レジへ向かった。
「ニラ玉……食べたいっす――」
捨て犬の様に目をキラキラと輝かせ、おねだりをして来た。
先程も言った通り、咲の容姿を持ってすれば――
それは凶器に成り得る。
――くっ……なんて破壊力だ……!
思春期の少年を揺るがす驚異的な魅力。
普通なら負けてしまう所だが――
生憎僕は甘くない。
「嫌だ――」
「アイスも奢るっすよ!」
「――とみせかけて、OKだよ」
何という策士……
アイスを切り札に用いるとは。
支払いを済ませ、店を後にした僕達は――
大通りを自宅へ向け歩く。
『ノゾムー! サキー! 待ってくれー!』
店を出た直後、聞き覚えのある声が僕らを呼び止めた。
「ちっ……邪魔者が来たっすね……」
小さく呟いた咲は、忌々しげに望を睨みつける。
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