359人が本棚に入れています
本棚に追加
「いきなり力を使うなよ!」
「そーっすよ! 焦ったっすよ!」
この時ばかりは二人の意見が揃い、僕へ非難の声を上げた。
ため息で答え、無言で中へ向かう。
「あっ……待てよっ!」
「待つっすよ!!」
慌てて駆け寄った二人は、やはり僕の手をそれぞれ握る。
――何でイチイチ……
内心うんざりするが、口には出さない。
僕とは対照的に、二人が物凄い笑顔だからだ。
このままでは鍵を取り出せないので、玄関の前で二人の手を解く。
僅かに表情を曇らせた二人は、名残惜しそうに僕の手を見ていた。
「リョウの部屋に来たのは久しぶりだな!」
「――私は初めてっす……クッ……」
懐かしそうにする望と対照的に、悔しさを顔に表す咲。
それに構わず冷凍庫にアイスを収納し、手早く料理に取り掛かる。
ニラを4センチ程に刻み、フライパンを強く熱して――
ごま油を注ぎ一気に炒めていく。
最初のコメントを投稿しよう!