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「っ…うっ、あっ…あぁ!」
「おいっ!」
痛い。苦しい。辛い。熱い。冷たい。怖い。苦しい。苦しい。
「光っ!」
「っ!はぁ…!はぁ…はぁ……」
「落ち着いて…。しっかり息吸え…。ゆっくり…」
瞼を開ける。
すぐそこには、初めて見る様な久し振りに見る様などこか懐かしい顔。
心配そうにこっちを見ていて、胸が高鳴るのが解った。
「あ…あぁ…」
「大丈夫…。大丈夫だ。俺が傍に居る…」
隣に座り寝ていた体を上半身だけ起こして抱き締めるその腕や温度が懐かしくて愛しくて悲しくて優しくて、怒鳴りたくなった。
「"光"…」
俺をそう呼ぶ。
"こうた"。
そう返事したかったのに、その唇で塞がれて返事は出来なかった。
「具合、悪そうだな…。何処が痛い?」
「…解んない」
「ここ?ここ?」
ふわふわと頭を撫でられたり、肩や腕などを這う手が擽ったくて安心出来る。
でも、もう一度唇を重ねたい。
「こ…た…」
「光。俺はお前の傍に居るよ…」
強く抱き寄せられ仕方なく胸に顔を押し付ける。
俺はこの行為が何よりも怖く、安心出来て、嫌い"だった"。
最悪で最高な気分で、酷い頭痛に襲われ歯をくいしばる。
「宏太っ…宏太……」
「もう少ししたら裕翔が来てくれるから…。もう少しだけ…」
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